ヒトの生態

ヒトの生態

我々が生活していて最もよく目にする哺乳類、それは多くの方の場合、「ヒト」になると思います。

なんとなく、ヒトは他の動物とは違う生き物な気がしてしまいますが、れっきとした哺乳類です。

ヒトは霊長類の一種で、サルとヒトは、サルとライオンよりも近い仲間になります。

当たり前の例ですが、ヒトはただの哺乳類の一種なんです。

そんなヒトについて、今回は知っていそうで知らない、哺乳類としての特徴や生態をご紹介します。

広告

ヒトについて

学名:Homo sapiens

分類:サル目(霊長目)ヒト科ヒト属ヒト

体長:約150~190cm

体重:約40~120kg

分布:日本各地

ヒトの学名はホモ・サピエンスもしくはホモ・サピエンス・サピエンスといい、種を指す場合はホモ・サピエンス、ヒトの亜種であり、現存するヒトを指す場合はホモ・サピエンス・サピエンスといいます。

この違いとして、ホモ・サピエンスだけでは、「新人」に属する種を全て指すため、クロマニョン人なども含まれてしまいます。

ちなみに、さらに下位分類では、ヒトはモンゴロイド(黄色人種)、ネグロイド(黒人種)など人種ごとに分類することも可能であり、これを亜種と見る意見も中にはありますが、一般的には全て同一種とみなします。

ヒトの進化

しかし、哺乳類の一種でしかないヒトはなぜここまで進化を遂げることができたのでしょうか。

ヒトと他の哺乳類との決定的な違いは直立二足歩行にあります。

直立二足歩行ができるようになったヒトは、体全体で頭部を支えることが可能となり、大脳の発達に繋がりました。

大脳の重量は、体重比で哺乳類界ナンバー1です。

その結果、これほどまでに高い知能を手に入れることができました。

その上、両手が自由に使えるようになったことで、物を作り、多くの技術を手に入れ、地球を支配するに至りました。

現在、地球上でもっとも広範囲に分布する陸上動物種は何だと思いますか?

それはヒトです。

ヒトの生態

行動

ヒトはその知能の高さゆえ、同一種間においてもかなり行動パターンや修正に違いが見られます。

その違いは個人差のみならず、成長する環境や文化圏にも大きく左右されます。

他の動物とは違った行動が多く、しっかりした家を構え、衣類をまとい、道具を使います。

さらに、言語を用いることで、豊かなコミュニケーションを可能としています。

寿命は、様々な要因の影響を受けますが、理想的な環境では100歳を超えると言われています。

肉、魚、植物、果実、菌類など、食事パターンは豊富です。

他の動物と異なり、ヒトの多くは安全性を重視し、生での食事を好まず、火を通した肉や魚を好みます。

その反面、火を使うことを覚えたヒトは、安全な食を求めすぎて、進化の過程で免疫が低下していき、生の肉や川の水で食中毒を起こしやすくなっているという指摘もあります。

繁殖

一般的な哺乳類同様胎生で、着床後、約10か月の妊娠期間を経て、3kg前後の子供を産みます。

多くの個体は10代前半で性成熟を迎え、活発な生殖活動を行います。

個体差はあるものの、40年ほどは生殖能力を維持します。

繁殖期はありません。

ん、なぜ繁殖期がないのでしょうか。

多くの動物には繁殖期がありますが、実は人に限らず、霊長類には繁殖期がない種が多く、一説にはどの季節に生まれようが、赤ちゃんの生存に影響がないからだと言われています。

特にヒトは何から何まで赤ちゃんの世話をして、ゆっくり育っていくので、季節に合わせて成長させるという必要がないんですね。

ヒトに「毛」がない謎

哺乳類としてヒトの大きな特徴としては毛が薄いことが挙げられます。

多くの哺乳類は全身が毛で覆われていることから、獣(毛もの)と呼ばれます。

それに対し、ヒトは頭部などの一部分を除き、ほとんど毛が生えていません。

これは一体なぜでしょうか。

実はヒト以外にも毛が少ない生き物はいます。

例えば、ゾウやカバには毛はほとんどありません。

しかし彼らには毛がない理由があります。

例えばゾウは暑い地域に生息するため、体温が上がり過ぎないようになっています。

カバは水中で暮らすため、水中での抵抗を減らすために毛がほとんど生えません。

ではヒトはというと、いくつも説があるものの、まだ明らかにはなっておりません。

以下にいくつか説を挙げます。

おそらくいくつかの条件が重なり、毛を減らしていったのだと思われます。

説① 脳を冷やす説

大きな大脳を持つヒトは、脳がオーバーヒートしないように、体毛をなくし、発汗しやすくしているという説です。

それなら髪の毛をなくせばいいのにと思いますが、やはり脳を守るという意味では重要なのでしょうか。

説② 異性に好かれるため説

ダーウィンの性淘汰説では、ヒトは進化の過程で毛がない異性を魅力に感じるようになり、毛深い個体が淘汰されていったという説を唱えています。

確かに現代人も毛が体毛が薄い異性を好む傾向があるように思います。

説③ 持久力をあげる説

人は進化の歴史的に見ると、食べ物を求めて長距離移動を頻繁に行っていました。

そのため、持久力を維持するために、毛をなくし、放射効率を上げているという説です。

説④ 直立二足歩行になったから説

ヒトの大きな特徴は直立二足歩行であることという説明をしましたが、毛がないことにも直立二足歩行が関わっているという説です。

そもそも毛の役割は体温保持機能もしかりですが、有害な紫外線から身を守るというのが重要な役割になります。

次に、逆になぜ頭だけに毛があるのかを考えると、太陽の紫外線から頭を守るためと考えられます。

つまり、直立二足歩行になることで太陽からの紫外線が当たる面積が減り、頭だけ守れば十分になったという説です。

説⑤ シラミから身を守る説

シラミのような寄生虫は毛を媒介してヒトに寄生します。

そのため、シラミ対策として毛がなくなっていったという説です。

説⑥ ヒトは水生生活をしていた説

ヒトは進化の歴史で、水辺での生活をしていた時期があり、それに適応したという説です。

確かにカバやクジラなど、水中で暮らす哺乳類には毛がほとんどありません。

突拍子もないように聞こえますが、よく考えると、なかなか面白い説です。

実はヒトのような大型の陸上哺乳類で皮下脂肪を持つ哺乳類は珍しく、皮下脂肪を持つ他の哺乳類はカバ、クジラ、アシカなどで、水中での生活に特化しています。

さらに、ヒトは息を止めることができますが、実は近縁のチンパンジーは息を止めることができません。

このような呼吸のコントロールは水生生物の特徴になります。

これらのことを考慮すると、ヒトが昔水生生活をしていたというのもありうるかもと感じます。

その他

他にも、毛がない方が性行為における妊娠効率が高いからだとか、ネオテニーと呼ばれる幼体成熟、つまり未熟なまま大人になる種だからという説などもあります。

掘り下げても面白いですが、ひとまずこのあたりにしておきます。

いずれにせよ、いろいろな説があり、おそらくそれらの説の複合により、ヒトは毛がなくなったと言えるでしょう。

まとめ

今回はヒトについてまとめました。

割と毛の話に終始してしまった気がします。

なお、他の哺乳類の紹介にある、「見つけ方」は省きました。

誰でもすぐに見つけられるからです。

最後になりますが、ヒト以外の陸上哺乳類の生態・見つけ方はこちらで徐々にまとめています。良かったら覗いてみてください。

クリックしていただけるととっても嬉しいです!

広告

2020年5月19日哺乳類図鑑,生物情報哺乳類

Posted by lunalion