日本に生息する毒ヘビ全21種とその生息地
日本にはたくさんの毒ヘビが生息しています。
有名なのは、マムシやヤマカガシ、ハブなどですが、細かく見ていくと、もっともっとたくさんいます。
ヘビは模様の個体差や地域差が大きいので、素人が「毒ヘビじゃないから大丈夫!」と自己判断するのは危険で、手を出さないのが最善です。
しかし、ヘビを捕まえたい人にとっては、毒ヘビかどうかを見分けるのは一番大事なポイントです。
ここでは日本に存在する、全毒ヘビについて解説します。
ここに書いていないヘビであれば毒ヘビではない可能性が高いと判断できます。
ただし、飼育施設からの脱走や、不測の入国をした外来の毒蛇が混じっている可能性も無きにしもあらずなので、最終的には種を同定してから、捕まえるようにしましょう。
マムシの仲間
ニホンマムシ
生息地:北海道、本州、四国、九州、周辺の島
ニホンマムシは最も有名な毒蛇の一種で、ハブの数倍と言われる強力な毒を持ちます。
楕円形の特徴的な斑点とずんぐりとした体が特徴で、目や頭の形も日本本土生息種の中では特徴的なので、見分けるのは難しくありません。
マムシの毒は複数の毒からなっており、噛まれて毒が注入されると、激しく痛み、患部が腫れあがります。
腫れはどんどん大きくなっていき、皮下出血、頭痛、しびれ、意識混濁などにつながり、死に至ることもあります。
噛まれた場合は、脈が触れる程度に軽く緊縛し、水道水で洗浄、早急な医療機関への受診が推奨されています(三豊・観音寺市医師会)。
マムシに噛まれた場合の死亡率は0.1~1%程度と言われており、死亡率が低い理由として、マムシは体が小さいため、噛まれても毒液が簡単には致死量に達しないことや、血清治療法が確立されていることなどが挙げられます。
ツシママムシ
生息地:長崎県対馬
ツシママムシは対馬のみに生息するマムシで、もちろん有毒種です。
見た目的なニホンマムシの違いとしては、斑紋の中央に点がないことや、舌がピンク色であることなどがあげられます。
ツシママムシは対馬ではかなりの密度で生息し、気性も荒いのでいっそうの注意が必要です。
対馬を訪れると、田園部や山など、ところどころで目にします。
対馬のヘビ全種はコチラで紹介しているので良かったら参考にしてください。
ヤマカガシの仲間
ヤマカガシ
生息地:本州、四国、九州、周辺の島
本土で2種しかいない毒ヘビですが、ニホンマムシと、もう一種がこのヤマカガシになります。
田んぼなどに生息し、カエルを主に食べるため、アオダイショウやシマヘビを探しに行くと良く出会うヘビです。
模様は地域差が大きく、同定しづらいヘビになります。
黒・赤・黄の美しいカラフルなヤマカガシがいる地域もあれば、単一色に近い地域もあります。
毒は二種類あり、一つはヤマカガシ自身が持つ強力な毒、もう一つは餌として食べたヒキガエルから取り込んだ毒になります。
ヤマカガシ自身が持つ毒は血液凝固作用があり、フィブリノーゲンと呼ばれる血液凝固因子を強制消費させることで、体は出血を止める能力を失います。
その結果、内臓や脳などの全身で出血を起こし、死に至ることもあります。
食べたヒキガエル由来の毒は、噛まれたときに注入されるわけではなく、首元にある頸腺という場所から飛ばしてきます。
そのため、ヤマカガシに関しては、噛まれなければ大丈夫と思って首根っこを掴むと痛い目を見ます。
ヤマカガシ自身が持つ毒は非常に強力ではあるものの、被害例はあまり多くありません。
ヤマカガシの毒牙は口の奥の方にあり、噛まれても、刺さらないことが多いうえに、毒を注入する力も強くありません。
また、おとなしいヘビで噛みついてくること自体が少ないこともあげられます。
ただし、治療用の血清が少なく、万が一がっつり噛まれた場合は非常に危険なので、見つけても近づかないようにしましょう。
ハブの仲間
ハブ
生息地:沖縄諸島、奄美諸島
ハブは沖縄に生息する代表的な毒ヘビです。
ハブの仲間やマムシの仲間が属するクサリヘビ科の特徴として、三角形の大きな頭があげられます。
つまり、三角形の大きな頭を持つヘビには絶対に近づいては行けないということです。
毒の強さ自体はマムシより弱いものの、その大きさ、攻撃性、毒牙の長さから、噛まれたときは大量の毒液が注入されます。
非常に危険です。
ハブの出血毒による症状は多岐に渡り、血清等を用いて、迅速に治療する必要があります。
サキシマハブ
生息地:八重山諸島、沖縄本島
サキシマハブはもともとは八重山諸島に生息するハブですが、沖縄本島にも移入しています。
模様のバリエーションは豊富で、素人が見分けるのは難しいです。
ハブより毒性は弱いものの、重症化することもあります。
タイワンハブ
生息地:沖縄本島
タイワンハブは、名前の通りもともとは台湾などに生息していたハブですが、マングースショーなどのために輸入した個体が逃げ出し、沖縄本島に定着したとされています。
攻撃的で、毒は強く、ハブよりも毒牙が長いことから、噛まれた場合は非常に危険ですが、毒の量が少ないことから死亡例はほとんどありません。
トカラハブ
生息地:トカラ諸島の宝島と小宝島
トカラハブはトカラ諸島の一部にしか生息しないハブですが、生息する島にはかなり高密度で生息します。
ハブよりは毒が弱く、毒の量も少ないとされているものの、注意は禁物です。
ヒメハブ
生息地:沖縄諸島、奄美諸島
実は沖縄で最もよく見かけるヘビがこのヒメハブです。
カエルを捕食するため、よく水辺で見られます。
毒ヘビではあるものの、攻撃性が低く、毒は弱く、量も少ないです。
症状は腫れ、眩暈などが主で、重症化することは少ないですが、放っておくと患部が壊死した例もあるそうなので、万が一噛まれたら医療機関を受診しましょう。
ヒバカリの仲間
ヒバカリは「噛まれたらその日ばかりの命」ということでヒバカリと名付けられましたが、ヒバカリには毒はありません。
ただし、ヒバカリの仲間には毒を持つ種もいるのでご紹介しようと思います。
とはいうもののヒバカリの仲間は毒を持っていたとしても、危険性は少ないです。
ガラスヒバァ
生息地:沖縄諸島、奄美諸島
ガラスヒバァはヒバカリの仲間ですが、時に1mほどになる種で、顔は結構ヒバカリに似ています。
毒の強さは引用元によって弱いともそこそこ強いとも言われますが、いずれにせよ、毒牙が未発達で、噛まれても毒が注入されるということはほとんどないようです。
これまで被害の報告はあまりなく、危険性は低いですが、毒ヘビという認識は持っておいた方がいいでしょう。
本州に生息するヒバカリとは異なり、捕まえようとすると噛みついてくることが多いので注意しましょう。
ヤエヤマヒバァ
生息地:石垣島、西表島
ヤエヤマヒバァは八重山諸島の一部に生息する、おとなしいヒバカリの仲間です。
ガラスヒバァと同様に、毒牙が未発達で口の奥にあり、被害報告はこれまでありません。
ガラスヒバァと異なり胎生のヘビであるというのが大きな特色です。
コブラの仲間
日本にも毒を持つコブラの仲間が生息するものの、全てサイズが小さく、危険とはみなされていません。
ハイ
生息地:沖縄諸島、徳之島
ハイは小型のコブラ科の毒ヘビです。
強力な毒を持つものの、おとなしく、口が小さいため人が噛まれることはほとんどありません。
毒の量も少なく、これまで被害報告はありません。
クメジマハイ
生息地:久米島、伊江島、座間味島、渡名喜島
ハイの亜種であるクメジマハイはハイと同様、おとなしく、危険性はほとんどありません。
ヒャン
生息地:奄美大島、与路島、請島
ヒャンはコブラ科であり、毒も強いものの、ハイと同様で、性格のおとなしさ、口の小ささ、毒の量などから危険性はほとんどなく、被害報告もありません。
生態や毒はハイと似ていますが、模様は全く違います。
捕まえると噛まずに尻尾で刺そうとしてきますが痛くはありません。
イワサキワモンベニヘビ
生息地:石垣島、西表島
イワサキワモンベニヘビはコブラ科であり、毒ヘビではあるものの、毒は弱いとされています。
珍しいヘビで、生態など不明な点が多いヘビです。
口が小さく、おとなしいこともあり、噛まれることは滅多にありません。
ウミヘビの仲間
ウミヘビの仲間は多くが強い毒を持ち、非常に危険です。
一応生息地も含めて書いていますが、海は繋がっており、関東などの思いがけないところで出会うこともあるかもしれません。
生息地などは気にせず、ウミヘビは全て危険と覚えておいてください。
エラブウミヘビ
生息地:琉球列島
エラブウミヘビは琉球列島に生息するウミヘビですが、黒潮に乗って本州、四国、九州でもたびたび目撃されます。
性格は大人しく、口が小さいため、噛まれることはあまりありませんが、ハブの数十倍ともいわれる強力な毒を持っているため、噛まれると非常に危険です。
捕まえたりすることはやめましょう。
アオマダラウミヘビ
生息地:南西諸島
アオマダラウミヘビは沖縄本島のさらに南に位置する南西諸島で良く見られるウミヘビです。
大人しいですが、毒は非常に強力で、噛まれると危険です。
ヒロオウミヘビ
生息地:南西諸島
ヒロオウミヘビはほとんど人に噛みついてくることはありませんが、強力な神経毒を持つため、噛まれると非常に危険です。
セグロウミヘビ
生息地:日本各地
セグロウミヘビは北海道まで来ることもある、唯一の外洋性ヘビです。
陸に上がることはめったにありません。
例にもれず強力な神経毒を持ち、非常に危険です。
しかも割と攻撃的と言われます。
さらに、筋肉にも毒があり、食べることはできません。
クロボシウミヘビ
生息地:南西諸島
クロボシウミヘビは気性も荒く攻撃的なウミヘビで、毒も強力なので注意が必要です。
クロガシラウミヘビ
生息地:琉球列島
クロガシラウミヘビは攻撃的であることから非常に危険なヘビです。
人間を見つけると、近づいてきて噛んでくることもあるそうです。
ハブの数十倍の神経毒を持ち、とても危険なので、出会うことがあれば、動かずやりすごすようにしましょう。
アオマダラウミヘビ
生息地:南西諸島
マダラウミヘビは気性が荒く、噛みついてくることが多く、毒も強力です。
日本のウミヘビの中で最も危険という説もあります。
まとめ
今回、亜種も含めて日本に生息する全21種の毒ヘビを紹介しました。
危険性が少ない種もいれば、攻撃性が非常に高く、毒も強い種もいます。
また、21種もいるものの、局所的に生息する種も多く、自分が行く場所に合わせて確認すればいいかと思います。
例えば、本州の陸地であれば、毒ヘビはニホンマムシとヤマカガシくらいです。
爬虫類を探しに行くときなどの参考にしてください。
ちなみにフィールドに爬虫類を探しに行くときはこちらの本が便利ですので、紹介しておきます。
また、本州のヘビ全8種をこちらで紹介していますので、興味があればぜひ!⇒ 本州のヘビ全8種【見つけ方も】
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