希少生物を守る「種の保存法」とは【どんな法律?】
生き物の採集、飼育には様々な制限があります。
例えば、文化財保護法や文化財保護条例などによって定められている、天然記念物は採集が禁止されています。
あとは外来生物法によって特定外来生物の運搬・保管・飼育が禁止されています。
この場合、捕まえても運搬せずにすぐにリリースすればOKになります。
複雑ですね。
あとは種の保存法によって絶滅の危機にある生き物の採集が禁じられています。
生き物が好きな一般人が気を付けておくべき点はこのあたりでしょうが、他にも鳥獣保護法や遊漁・漁業規則、各地に特別保護地区などもあり、生き物採集には実は細かなルールがあります。
今回は「種の保存法」に焦点をあてて、いったいどんな法律なのかを全て白日のもとにさらしていこうと思います。
「種の保存法」の概要
正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」であり、簡単に概要をまとめると以下のようになります。
・目的:絶滅のおそれのある動植物の種の保存により、生物多様性を維持すること。
・内容:指定種の「捕獲・流通の規制」、「生息地の開発規制」、「保護増殖」。
法令はこちらでご覧いただけますので、興味のある方はぜひ。
それでは、それぞれの要素を分かりやすく解説していきますね。
捕獲・流通の規制
さて、まず絶滅しそうな生き物たちを守るためにはどうすればいいでしょうか?
簡単に思いつくのは、生き物の採集を禁止することです。
そこで、種の保存法では希少野生動植物種を指定しています。
希少野生動植物種は細かくはさらに細分化されていますが、ここではそこまでは踏み込みません。
簡単に言うと、希少野生動植物種とは絶滅が心配されている種で、採集や販売・譲渡が原則として禁止されます。
ただし、例外として販売や譲渡のみが禁止されている種などもいます。
国内希少野生動植物種の一覧は、環境省のホームページで分かりやすくまとまっているため、こちらをご覧ください。
なお、指定種は随時更新されていきます。
つい先日(2020年4月)にはトウキョウサンショウウオの卵のうや幼生の売買で、種の保存法違反として捕まっていますね。
生息地の開発規制
採集を制限するだけでは十分ではありません。
採集がされずとも、環境が荒らされれば、数はどんどん減っていってしまいます。
そこで、この法律には国内希少野生動植物種の生息地を守るという役割もあります。
種の保存法では生息地等保護区が設定されており、指定された場所では伐採や埋め立てをはじめとした開発が規制されており、場所によっては立ち入りも禁止されています。
細かくは、こちらから環境省の解説がご覧いただけます。
保護増殖
ここまでして、なんとか生き物たちの現状を維持できたとしましょう。
次の課題はすでに数が減少していたり、生息環境が悪化していたりして、危機的な場合です。
このような場合、現状維持だけでは絶滅してしまう可能性がありますので、保護・増殖の手助けをする必要があります。
そこで、国・民間団体などの手によって、給餌、環境整備、飼育増殖などの保護増殖事業が行われています。
さらに野生生物保護センターや認定希少種保全動植物園により保護増殖活動が進められています。
まとめ
今回は少し難しい話にはなりましたが、生き物採集を規制する「種の保存法」についてなるべく分かりやすく解説していきました。
種の保存法では、以下の3点により絶滅の危機に瀕した生き物たちを守ろうとしています。
・捕獲・流通の規制
・生息地の開発規制
・保護増殖
生き物が好きな人たちにとっては枷になる法律にはなりますが、いつまでも生き物と触れ合っていくために必要な法律でもあります。
しっかりこの法律を知ったうえで、野生の生き物たちを探しに行きましょう!
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません