爬虫類と両生類の違い【カメはどっち?】

淀川にいたミシシッピアカミミガメ
淀川にいたミシシッピアカミミガメ

両生類と爬虫類の違い、ご存知でしょうか?

なんとなく、両生類は水が好きで、爬虫類は陸が好きくらいのイメージありますよね。

そのイメージだけで言うと不思議なのはカメです。

「めちゃくちゃ水が好きなのに、爬虫類じゃん!?」ってなりますよね。

しかもウミガメにいたってはほとんど常に水(海)の中にいるし、、、ってなります。

両生類と爬虫類には明確な違いがあるので、ここでご紹介します。

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爬虫類(Reptiles)

アオダイショウ
アオダイショウ

爬虫類といえば真っ先に思いつくのはヘビやトカゲでしょう。

そもそも爬虫類というのは、生物学的な分類で、脊椎動物門の生き物たちの中の爬虫綱を指します。

爬虫類は「ずっと肺呼吸する変温動物」

爬虫類の最大の特徴は生まれてから死ぬまで肺呼吸する変温動物ということです。

脊椎動物の中で生まれてから死ぬまで肺呼吸、つまり陸上だけで呼吸できるのに、変温動物なのは基本的には爬虫類だけです。

変温動物とは、外の気温によって体温が変化してしまう動物のことで、恒温動物である人間が外気にかかわらず36~37℃の体温を維持できるのに対し、爬虫類は体温を調節する機能が備わっていないため、気温が上がると体温が上がり、気温が下がると体温が下がります。

トカゲとかカメとかが良く日光浴をしている理由の一つはそれです。

ただし、若干例外もあり、近年は体内で熱を調節できる爬虫類や、逆に熱調節が苦手な鳥類、哺乳類も見つかってきています。

爬虫類は「うろこや甲羅を持つ」

見た目的に「あっ、爬虫類だ!」とすぐに分かる理由がうろこや甲羅です。

ヘビ、トカゲ、カメなどに共通して、ケラチンでできた硬いうろこや甲羅に覆われています。

うろこや甲羅は、強い力を持つ外敵から身を守るほか、寄生虫などを防御する役割も持ちます。

爬虫類は「殻のある卵を産む」

爬虫類の特徴は、硬い殻につつまれた卵を陸上に産むことです。

硬い殻につつまれた卵を産む動物は、基本的には爬虫類と鳥類だけです。

硬い殻に包まれていることで、外敵から高い防御力を発揮します。

ところが中には例外もいて、おなかの中で卵を孵し、子供を産む種もいます。

有名なのは毒蛇のマムシで、「口から子を産む」という謎の迷信がありますが、ちゃんと総排泄腔と呼ばれる、お尻のあたりにある器官から子供を産みます。

両生類(Amphibian)

トノサマガエル
トノサマガエル

続いて両生類です。

爬虫類に対応し、こちらは脊椎動物門両生綱に分類される動物です。

両生類と聞いて思い浮かべるのはカエルやサンショウウオでしょうか。

ヌルっとしたイメージですよね。

両生類は「えら呼吸と肺呼吸を使い分ける」

両生類の最大の特徴はその呼吸法です。

なんと、生まれたての幼生は水中でえら呼吸をすることで成長していき、大人になると肺呼吸を手に入れます。

なんとなくすごそうですが、両生類には弱点が多く、肺呼吸を手に入れるものの、皮膚呼吸に頼りがちなので、水辺の近くでないと体が乾燥してしまい、生きていけません。

さらに、皮膚呼吸をするせいでうろこを持てず、柔らかい体つきになってしまっています。

また、幼生はえら呼吸、成体は肺呼吸と言いましたが、例外も多く、肺呼吸を全くせず、皮膚呼吸に頼りきりの成体となる種もいれば、幼生の時から肺呼吸ができる種もいます。

両生類は「体がなめらか」

両生類の特徴としてなめらかな体つきが挙げられます。

なめらかすべすべで、時にヌルっとしています。

これは、上にも少し書いたように、皮膚呼吸をするからで、うろこで体をガードすることができません。

ただし、中には一部うろこを持つ種もいるそうです。

両生類は「殻を持たない卵を産む」

両生類の卵は、殻ではなく、ゼラチン質に包まれ、基本的には卵のうに覆われて淡水中に産卵されます。

産卵形態についてはかなり多種多様で、そもそも卵を産まず、幼体の状態で産卵する卵胎生の種もいます。

その一方で、水中に生まず、陸上に産卵する種も少なくありません。

両生類はふ化直後は足を持たず、段々生えてくるのですが、中には生まれた時にはすでに足が生えている種もいます。

このように両生類は種差が激しく、シンプルな定義づけが難しい種でもあります。

爬虫類と両生類の違い

オオサンショウウオ
オオサンショウウオ

それでは爬虫類と両生類の違いをまとめます。

まず、第一に呼吸法です。

爬虫類は生まれてから死ぬまで肺呼吸を貫きますが、両生類は幼生時にはえら呼吸、成体になると肺呼吸を獲得しますが、その能力は中途半端で、皮膚呼吸に頼る部分が大きいです。

続いて、第二に皮膚表面です。

爬虫類はうろこや甲羅に覆われているのに対し、両生類は皮膚呼吸に重きを置くため、うろこが無く、なめらかです。

最後に、卵の性質です。

爬虫類の卵は硬い殻に覆われているのに対し、両生類の卵には殻がなく、ゼラチン質に覆われています。

カメはなぜ爬虫類なのか?

それでは初めの疑問に戻りましょう。

なぜカメは両生類でなく爬虫類なのかということですが、ここまで読んでいただき、ご理解いただけましたでしょうか?

カメは水辺に生息することが多いですが、水辺に生息するかどうかは、両生類と爬虫類の分類的な違いには全く影響しません。

水辺に生息するから両生類なのではなく、両生類には水辺が必要なだけなのです。

カメは水辺や海で暮らしていても、ちゃんと息継ぎをして肺呼吸しますし、陸地に殻のある卵を産みます。

そしてしっかり硬い甲羅に覆われています。

このように爬虫類の特徴がしっかり出ている生き物なんです。

まとめ

今回は爬虫類と両生類の特徴を挙げ、その違いについて詳しくまとめてみました。

そして、水辺に生息し、両生類っぽいカメがなぜ爬虫類なのかについても書いてあります。

ちなみに、混同しがちなヤモリとイモリも爬虫類と両生類で、よく似ていますが全く異なる生き物です。

イモリとヤモリの違いについてはこちらで詳しく説明させていただいています。

参考になったら幸いです。

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2020年5月12日生物情報知識

Posted by lunalion