黒い魚の群れ、ゴンズイ玉はなぜ生じる?【ゴンズイ】
夏に漁港や磯を覗くと目に入る、黒いヒョロヒョロした魚たちの群れをご存知ですか?
これは俗にゴンズイ玉と呼ばれるもので、ゴンズイという海に住むナマズの仲間が集まって玉のような形になることからつけられた名前です。
数cmの稚魚たちがわらわら集まって一緒に泳いでいる姿は微笑ましいですよね。
今回はこのゴンズイの紹介をしつつ、なぜゴンズイ玉を作るのかということに焦点を当ててご説明していきます。
ゴンズイとは
ゴンズイは海水魚では少ないナマズ目の魚類です。
頭部を走る二本の線が特徴的で、幼魚の時は特に鮮やかで美しいです。
成魚になると10~20cmほどまで成長しますが、漁港や磯で見かけるゴンズイ玉の多くは稚魚です。
これには理由があり、ゴンズイは夜行性で、昼間は行動しないのですが、稚魚はなぜか日中でもゴンズイ玉を作って泳いでいます。
そのため稚魚が良く目に入るんですね。
稚魚のゴンズイ玉が見られた漁港に夜行くと、成魚のゴンズイも稚魚のゴンズイ玉も見ることができます。
成魚もゴンズイ玉を作りますが、単体で見ることの方が多いです。
なお、後述しますが、ゴンズイは毒があるので、かわいいからと触ってはいけません。
ゴンズイ玉ができる理由
では本題である「ゴンズイ玉ができる理由」を解説していきます。
結論から言うと、ゴンズイ玉ができる理由は完全には解明できているわけではありません。
しかし、ゴンズイが群れになるメリットはいくつも考えられ、いずれにせよ捕食者から身を守るための策であると言えます。
ちなみにゴンズイ玉はフェロモンによって制御されており、それによってあんなにきれいな塊になるそうです。
理由1:大きく見せる
まずは大きく見せる目的があると考えられます。
あれだけ密集して固まっていたら、捕食者から見たら大きな生き物のように見えるでしょう。
人が見てもパッと見るだけだと大きな黒い物体に見えます。
つまり捕食者にエサにしては大きすぎると認識させるわけです。
理由2:敵の目を散らす
次に捕食者のターゲットを絞りづらくさせるという目的が考えられます。
生き物がエサを食べるとき、そのターゲットをロックオンすることは重要です。
「たくさんエサがいるからどれでもいいから食べよう!」と思っていると、結局一匹も食べることができずに終わってしまいます。
しかし、ゴンズイ玉ではたくさんのゴンズイが密集して入り乱れており、ロックオンした個体がどれか分からなくなってしまいます。
このように敵の目を散らして身を守るという手段をとっていると考えられます。
理由3:毒の効果を上げる
最後に固まることで毒の効果が上がることが期待されます。
稚魚のゴンズイは成魚に比べて保持できる毒の量も、注入量も少なく、一匹の毒の量だと捕食者にダメージを与えられないかもしれません。
しかし、ゴンズイ玉を作り密集することで、捕食者に「口の中にたくさん入っていっぱい刺されたら嫌だな、、、」と思わせる効果が期待できます。
一匹の毒なら我慢する捕食者でも複数匹の毒はくらいたくないでしょう。
ゴンズイ玉の毒に注意
ゴンズイ玉、可愛いからと言って触るのは絶対にNGです。
刺されたら危険です。
ゴンズイには背びれと胸びれに毒があり、成魚に刺されると激痛が走ります。
幼魚では成魚ほどではないにしても刺されたら痛いと思うので、触らないに越したことはないと思います。
ゴンズイの採集・飼育について
ゴンズイは毒があるものの、やはりかわいいです。
採集・飼育してみたいと思っちゃいますよね。
採集
ゴンズイの採集は容易です。
ゴンズイ玉を網ですくうだけです。
何の工夫もいりません。
ひと掬いで100匹以上採集できます。
ただし毒があるので絶対に素手では触らないようにしてください。
飼育
飼育は比較的容易です。
人工餌にもすぐ餌付きます。
ただし、水槽内ではゴンズイ玉を作るためのフェロモンが分散されてしまい、ゴンズイ玉を作らなくなってしまうので魅力半減といったところです。
また、ひと掬いで100匹掬っても飼うのは数匹に留めておく方が無難です。
そんなに大量の魚を入れると水質の維持が困難になりかねません。
まとめ
今回はゴンズイが作るゴンズイ玉についてまとめました。
ゴンズイ玉を作る理由としては、以下3点ということでした。
①大きく見せる
②敵の目を散らす
③毒の効果を上げる
また、毒にさえ気を付ければ採集も飼育も比較的容易なので試してみてもいいと思います。
ただし水槽内ではゴンズイ玉にはなりません。
海水魚探索・採集に関する記事はこちらでまとめているので良かったらご覧ください。
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