ニホンジカの生態と見つけ方
今回はニホンジカが野生でどのように生活し、どうすれば観察することができるのかをご紹介します。
鹿と言えば日本人にとってはおなじみの生き物で、奈良公園や宮島ではそこらじゅうを歩いており、名物にもなっています。
とはいえ、都会に住む人たちにとっては普段の生活で簡単に出会える動物ではないことも確かです。
そのため、山の中で鹿と出会うと結構感動します。
一方で、全国的に鹿の増加により、農作物への被害が増大するなど、社会問題にもなっています。
そんな野生の鹿、学術的にはニホンジカについて紹介していきます。
ニホンジカについて
学名:Cervus nippon
分類: ウシ目(偶蹄目)シカ科シカ属ニホンジカ
体長:90~180cm
体重:20~130kg
分布: 全国各地
ニホンジカの亜種
日本では全国各地にニホンジカが生息しますが、やはり地域ごとに気候など大きく異なるため、場所によって異なる進化を遂げています。
日本に生息するニホンジカの亜種としては、本州に生息するホンシュウジカ、北海道に生息するエゾシカ、九州・四国に生息するキュウシュウジカ、さらに離島にはツシマジカ、ヤクシカ、マゲジカ、ケラマジカが生息します。
亜種間の違いとしては、大きさが明らかに異なり、北に行くにつれ、大きくなります。
例えば、北海道に生息するエゾシカのオスは100kgを越える巨体となるのに対して、沖縄の島である慶良間諸島に生息するケラマジカは30kg程度と非常に小柄です。
なぜこんなにも大きさに違いが生まれるのでしょうか。
正確には北に行くほどではなく、寒い地方ほどという言い方になります。
このように寒い地域の個体ほど体が大きくなる現象は、1847年に生物学者であるベルクマンによって発表されています。
簡単に説明すると、体が大きい方が体内での熱生産量が大きく、そのぶん寒さに耐えられるということです。
カナダに生息するヘラジカなんかは時として800キロにもなると言われます。
ちなみに奈良公園にいる天然記念物でもあるシカたちはホンシュウジカです。
タイワンジカ
ニホンジカの亜種は日本以外にも生息しており、その代表が台湾固有のタイワンジカです。
このタイワンジカ、日本にも近年入り込んでおり、和歌山県の友ヶ島に移入しています。
しかも泳いで本州に入り込み、ニホンジカとの交配が確認されています。
ニホンジカは若い個体や、大人でも夏になると体に白い斑紋が入りますが、このタイワンジカは大人でも周年白い斑紋が残るという特徴があり、まるで梅の花が咲いているように見えるということから、ハナジカとも呼ばれます。
ニホンジカによる被害
ニホンジカによる農作物被害は地域により深刻化しており、イネやトウモロコシなどあらゆる農作物を食べてしまいます。
生態系への被害も大きく、シカの増加によって、数が少ない希少な植物が荒らされています。
ニホンジカは天敵がいないこともあり、全国的に増加傾向にあり、農作物への被害額もイノシシを上回り、鳥類哺乳類合わせてナンバー1です。
ニホンジカの生態
行動
山林に生息し、基本的には森林がある場所で暮らしています。
とはいえ環境適応性が高く、2000m近い高地だったり、全く木が無いような環境でも出会うことがあります。
基本的にはオスとメスが別々に群れを形成し、メスの群れで生まれたオスも1~2年でメスの群れから独立します。
オスだけが持つ立派な角は毎年生え変わり、春先になると立派な角が抜け落ちるため、運が良ければ見つけることができます。
抜けた角は半年も経つと、元通りに戻り、むしろさらに立派になります。
生え変わるごとに角が立派になっていくため、より高齢のシカほど立派な角を持つことができ、メスの取り合いも有利になると言えます。
ニホンジカは昼夜問わず活動しますが、夜行性の性質が強く、昼間全くシカを見ない場所でも、夜になると大量に出没したりします。
日中は人目につかないところで休んでいることが多いです。
餌
草類や木の葉、木の実、果実を好みますが、樹皮、落ち葉、キノコなども餌とします。
有毒でさえなければ、植物系ならなんでもござれといった感じです。
繁殖
繁殖期は秋で、強いオスがメスの群れを囲い込み交尾を行います。
つまりハーレムを形成します。
妊娠したメスは、約230日の妊娠期間の経て、初夏に1頭の子供を産みます。
ニホンジカの見つけ方
さて、野生のニホンジカを見つけようと思った時にどうしたらいいのかということですが、最も効率的かつ簡単なのは確実にいるところに行くことです。
一番のおすすめは奈良公園です。
少し歩いていたら確実にニホンジカに出くわします。
むしろ道路を横切る姿も良く見るので、奈良公園近くの町中を運転しているだけで高確率で出会えます。
ただやっぱり、天然記念物として保護されている奈良公園のシカを見ても野生の鹿という実感はあまりありません。
ということで、別の場所に住むニホンジカを探しましょう。
方法としては、夜のドライブがおすすめです。
シカが生息する森林沿いの道を夜にドライブしていればかなりの高確率で出会えます。
関西では首都圏に近い京都や奈良、兵庫の山にたくさん生息しています。
関東はあまり生息数は多くなく、富士山周辺の山林がおすすめです。
あと、ぜひ見ていただきたいのは北海道のエゾシカです。
ホンシュウジカとは比べ物にならないくらい大きくて迫力があります。
道東で夜の道を運転していると、かなり大きい通りでもエゾシカの姿を見ることができます。
最後に一点、夜のドライブでニホンジカを探していると、シカが突然道路に飛び出てくることがあります。
しかも割と頻繁にあります。
シカと衝突事故を起こさないように、細心の注意を払うようにしましょう。
コチラの記事でシカを見つける「4つの方法」を比較しているので良かったら参考にしてください。
まとめ
今回はニホンジカの生態と野生での見つけ方をご紹介しました。
野生のニホンジカの見つけ方としては、奈良公園など確実にいる場所に行くか、夜の森林沿いドライブがおすすめということでした。
山に探索に行くとしょっちゅう出会いますが、いまだに出会うとテンションが上がります。
最後になりますが、ニホンジカ以外の哺乳類の生態・見つけ方もこちらで徐々にまとめています。良かったら覗いてみてください。
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