野生のヤンバルクイナを探してみた【2020年夏】
沖縄の北部地域を「やんばる」と呼びますが、このやんばるには希少な生物がたくさん生息しています。
そしてそのやんばるの代名詞的な生き物とも言えるのが本記事の主役「ヤンバルクイナ」です。
国指定の天然記念物であり、絶滅危惧種でもあります。
今回の沖縄旅行では、全力でヤンバルクイナを探してきて、計5地点で6羽のヤンバルクイナを確認することができました。
そこで、ヤンバルクイナの探し方や出会える場所を解説するとともに、実際に私がヤンバルクイナを見つけるまでの経緯を記していこうと思います。
ヤンバルクイナとは
ヤンバルクイナは「やんばる」と呼ばれる沖縄北部地域に固有の鳥で、その名の通りクイナの仲間です。
国指定の天然記念物にして絶滅危惧IA類、国内希少野生動植物種にも指定されています。
飛べない鳥とされ、基本的にテクテク歩いて行動します。
大きさは35cmほどで、ハトより大きくカラスより小さいくらいのサイズ感です。
大きな特徴としてはくちばしが赤いことで、野生のヤンバルクイナを探す際はこのくちばしの赤が目印の一つとなります。
食性は雑食で、昆虫や果実、カタツムリなどを食べ、時にはカエルやヘビも餌とするそうです。
夜のやんばるはヘビが跋扈するため、木に登って休みます。
飛べないのにどうやって木に登るのかと不思議に思うかもしれません。
木に登る姿はYouTubeにもアップされていますが、斜めに生えていて歩いて登れそうな木を登ります。
なお、下りるときは数メートルを滑空して下りる姿が目撃されています。
飛べないとはいえ、翼で空気を捉えることくらいはできるみたいですね。
ヤンバルクイナの探し方
私自身ヤンバルクイナを探すのは初めての経験でしたが、ヤンバルクイナの生態や、本・ネット上での観察情報を参考に、探し方を考え、実践してきました。
ちなみにヤンバルクイナの調査をしたこちらの論文がヤンバルクイナ探しにはかなり参考になると思いますので良かったらご覧ください。
時期
時期は春から夏にかけての暖かい時期がおすすめです。
冬にもヤンバルクイナは活動しますが、冬が行動が鈍り、あまり人前に現れなくなるという情報があり、調査でも有意な差が出ています。
夏はヤンバルクイナの繁殖期ですので、行動が活発になり、時には子供連れの個体を目にすることができます。
時間帯
ヤンバルクイナを探す時間帯ですが、おすすめは朝になります。
それも日が昇った直後くらいの早朝です。
過去の調査では朝の6時~7時ごろに最も活発に行動するという結果が出ています。
とはいえ5時から18時ごろまでは行動するようなので、昼間でも出会えるチャンスは十分にあります。
また、曇っていたり雨が降っていたりして、気温が低い日はより元気に活動するようです。
朝をお勧めする理由としては、他に交通量の問題もあります。
ヤンバルクイナは道沿いに出てくることが良くありますが、車が通ると多くの個体は山に戻ってしまいます。
つまり交通量が多い昼間は道沿いにほとんど出てきてくれないことになります。
早朝ならば車がほとんどいないので、ヤンバルクイナが道沿いに出てきたときに遭遇しやすいです。
場所
場所について、ヤンバルクイナが生息するのは沖縄県北部の「やんばる」と呼ばれる地域です。
とはいえ、「やんばる」という地域はGoogle mapで検索してもいまいち範囲が分かりません。
具体的には塩屋湾と平良湾をつないだ国道331号線より北部に生息すると言われています。
その中でもさらに北部に向かうほど生息数が多い傾向があるというデータもあります。
目撃情報が多いのは東海岸側の国道58号から県道70号にかけてです。
私も県道70号沿いの5地点にてヤンバルクイナを見つけています。
ただ、このように大通りでの目撃事例が多いのは、単に車通りが多いからという理由もあるはずなので、脇道に入って探してみるのもありかもしれません。
方法
探す方法はドライブによる探索がおすすめです。
ゆっくり運転しながら道路脇の茂みあたりを見てみましょう。
たまにヤンバルクイナがひょっこり出てきているかもしれません。
道の上まで出てきていたら簡単に見つけられますが、そんなラッキーはそう多くありません。
私も今回ヤンバルクイナを探していて、見つけたのは全て道沿いの茂みの中やそのすぐ手前などでした。
赤いくちばしが異常に目立つので、茂みの中にいても、見つけることは可能です。
注意点としては、不注意で轢いてしまわないこと、また、ゆっくり走行しすぎて後続車に迷惑をかけないようにしましょう。
一度茂みに隠れてしまってもまた出てくることがあるので、もし近くに車を停められそうなスペースがあれば、停車して再び出てくるのを待ってみるのも一つの手です。
ヤンバルクイナを探してみた
それでは実際のヤンバルクイナ探しの結果について書いていきます。
今回5日間の沖縄旅行でしたが、ヤンバルクイナ探しにあてたのは早朝一回分です。
なぜなら早起きを何回もするのはしんどいからです。
朝3時50分くらいに起床し、4時に宿を出ます。
天気は快晴ですが、まだ真っ暗なのでよく分かりません。
この時間のやんばるはほとんど車が走っていないので本部半島から一時間程度で辺戸岬付近に到着してしまいました。
まだ暗くて暇だったので少し林道に入ってみました。
林道脇の側溝でいきなりリュウキュウアオヘビを発見です。
幸先いいですね。
美しい緑色のヘビで、無毒です。
昼行性ですがこの時間(5時くらい)にもう活動しているようです。
だいぶ空が白んできたころから、国道58号、県道70号と南下しながらヤンバルクイナ探しをスタートしました。
そして車を走らせることしばらくして、県道70号のある地点で道路脇に念願のヤンバルクイナ発見です。
浅い茂みの中にいてくれたため、見つけるのは比較的簡単でした。
すぐにテケテケと歩いて茂みに入ってしまい、見えなくなってしまいましたが、ひとまずカメラに収められたので御の字です。
その後もちょくちょく道の脇の茂みの近くでヤンバルクイナを目撃し、7時前までに計4地点でヤンバルクイナを確認できました。
ただし、車が近づくとすぐに茂みに入ってしまうため、撮影はなかなか難しかったです。
その後、休憩がてら森の中を2時間弱散歩し、たくさんのオキナワキノボリトカゲと戯れました。
オキナワキノボリトカゲは本州にはいないアガマ科の爬虫類で、やんばるではあちこちの木にくっついています。
なかなか格好いいフォルムをしています。
やんばるの森を散策後、もう9時頃でしたが、帰り際にさらにヤンバルクイナを発見し、これで計5地点6羽のヤンバルクイナ発見となりました。
運や条件に恵まれていたのかもしれませんが、意外とヤンバルクイナは多く生息しているのかもと感じました。
次はできれば子連れのヤンバルクイナを見てみたいものですね。
まとめ
今回、夏のやんばるでヤンバルクイナを探してきたので、時間帯、場所、方法などの探し方をまとめつつ、実際の探索結果をまとめました。
日本の希少な鳥なのでぜひ野生の姿をみなさんにも見ていただきたいですが、同時にロードキルなどにはくれぐれも注意してください。
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