クロイワトカゲモドキを沖縄で探してみた【2020年夏】
ペットとして大人気なヒョウモントカゲモドキと同じ、トカゲモドキ科の爬虫類が日本にも生息していることはご存知でしょうか?
トカゲモドキは南西諸島に複数種生息し、沖縄本島にも、クロイワトカゲモドキというトカゲモドキの仲間が生息しています。
トカゲモドキという名前ではありますが、どちらかというとヤモリに近い仲間です。
トカゲモドキのような格好良く、野生にいそうもない種が生息しているなんてワクワクしますね。
そこで、今回の沖縄旅行ではぜひ見つけてみたいと思い、沖縄北部でクロイワトカゲモドキを探してみました。
クロイワトカゲモドキとは?
クロイワトカゲモドキはトカゲモドキ科の爬虫類で、沖縄本島、瀬底島、古宇利島、屋我地島に生息します。
昼間は洞窟や倒木の下、石垣などに潜み、夜になると姿を見せ、林道など、山間部の道路上で見ることができます。
生息数はかなり減っているようですが、環境が守られている場所ではかなり高密度で生息しており、一匹見つけることができれば、同じ場所で複数匹発見できることが多いそうです。
また、暖かい季節の目撃例が多く、夏場に活発に行動すると考えられていますが、冬にも気温が高い日は行動します。
産卵期は5~8月で、2個の卵を複数回にわたって生みます。
なお、種の保存法の国内希少野生動植物種に指定されていることや、県の天然記念物に指定されていることから、触ったり採集したりすると、文化財保護法違反や種の保存法違反になります。
見つけても観察するだけに留めておきましょう。
なお、クロイワトカゲモドキ探しは私自身初めてであり、上記情報は下記愛読書等の書籍に基づいています。
クロイワトカゲモドキを探してみた
クロイワトカゲモドキを探すにあたっては、生息情報がある場所はあったものの、夜間の立ち入りが難しく、「やんばる」と呼ばれる沖縄北部地域をドライブして、生息していそうな場所を探すことにしました。
ただし、ドライブでの探索にも障害があり、やんばるの林道は大部分夜間立ち入り禁止となります。
そのため、車が入れる場所か、徒歩での探索になりました。
ちなみに、夜間の沖縄はハブが怖いので、歩くとしてもアスファルトや砂利道の上など、足元や周囲の安全が確保できることを前提とした方が良いです。
私は最悪ハブに噛まれても大丈夫なように厚手の長靴を履いて探索に挑みました。
クロイワトカゲモドキ発見!
探し始めて一番初めに寄った沢の近くの石垣で、いきなりクロイワトカゲモドキを発見しました。
これは正直かなり運が良かったです。
探索開始数分でのあっという間の目標達成になりました。
強めのライトを当てても逃げる気配がなく、じっくり観察することができました。
顔をアップで観察してみましたが、目が赤くキリっとしています。
なかなか眼光が鋭いですね。
たくさんのクロイワトカゲモドキを観察
結論から言うと、この日、たくさんのクロイワトカゲモドキを観察することができました。
合計3地点にて、二桁数のクロイワトカゲモドキを発見しました。
途中、運転時に道路上に出てきた個体もおり、なかなか逃げ足が遅いので、良く路上を見てゆっくり運転しないとロードキルを引き起こしかねないと感じました。
完全尾のクロイワトカゲモドキ
クロイワトカゲモドキのしっぽは尾切れを経験すると斑模様になることが有名で、実際に多くの個体のしっぽが斑模様でしたが、中には帯状の横嶋が入った完全尾(尾切れを経験していない)個体もいました。
ただ、この尾切れを経験していない個体はサイズが小さかったこともあり、まだ若い個体だからというのもあるかもしれません。
尾切れのクロイワトカゲモドキ
完全尾の個体がいたかと思えば、そのすぐ近くには尾が切れて間もない個体がいました。
切れた断面が痛々しいです。
すぐに新しい尾が生えるので大丈夫かとは思いますが、傷口からばい菌が入ったりしたら命にもかかわります。
クロイワトカゲモドキは逃げない個体が多い
クロイワトカゲモドキは、他のトカゲやヤモリの仲間と比べて逃げない個体が多く、逃げるときも逃げ足が遅いように感じました。
なんと、ずっとライトを当てて至近距離で観察していても微動だにしない個体が半数以上でした。
もちろん、素早く穴や石の下、草陰に隠れる個体もいましたが、ゆっくりとカメのように遠ざかる個体もいました。
クロイワトカゲモドキにはヘビや鳥など外敵が多いので、こんな感じだとすぐに絶滅しそうで少し心配ですね。
ヒメハブに捕食されるクロイワトカゲモドキ
クロイワトカゲモドキはこんなに逃げ足が遅くて大丈夫なのだろうかと思っていたら、案の定捕食されるシーンに出くわしてしまいました。
捕食者はヒメハブです。
私が発見したときにはすでにこと切れており、ヒメハブの毒にやられてしまっているようでした。
その後、数分かけて丸のみで食べられてしまいました。
ヒメハブがトカゲやヤモリを捕食することは知られており、クロイワトカゲモドキが捕食対象なのも知ってはいましたが、実際に目撃するとショッキングでした。
ただ、この生態系のあるべき姿を自分の目で確認することができて良かったとは思います。
まとめ
今回、やんばるでクロイワトカゲモドキを探して、実際にたくさんの野生のクロイワトカゲモドキを観察することができました。
かなり制限された条件の中で、これだけ見つけることができたのは上出来かなと思います。
なお、やんばるの夜はクロイワトカゲモドキ以外にもたくさんの生き物がうごめいており、アカマタなどのヘビやフクロウ、カエルの仲間たちなどたくさんの生き物を観察することができました。
クロイワトカゲモドキ以外の沖縄の生物探索についてはまた追って記事にしようと思っています。
路上にもたくさんの生物が出てくるので、車で訪れる方はロードキルに細心の注意を払って生き物を観察していただければと思います。
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